里山

梅雨の影響で、雨がしとしと。
それを言い訳にして、
昼までゴロゴロと寝て過ごした。
キッシュの作り方の本を買ったから、ぜひ作ってみたい。
ネットで評判のシャンプーが届いているから、取りに行きたい。
でもまあ、あとでいいや。
ゴロゴロ。
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母が、いなくなってから、5年と半年が経つ。
父が、家族の解散を宣言してからも、5年と半年。
いつも寄る辺なさが心につきまとって、孤独を深めた。
自分が持っているものより、
失ったものが目について仕方なかった。
でもだんだんと、心は平穏さを取り戻していった。
悲しいことも、妬みや憎しみも、
抱え込むのにも疲れて、
きっと自然に手放していった。
もう、帰る場所がない悲しみも感じない代わりに、
家族のあったかい感じとか、ほっとする感じとか、
そういうのも思い出せなくなっていくことにも、時々気づいた。
夫は、わたしのそういう部分を、冷たい、と感じていたんだろう。
わたしも感じる。わたしは冷たい。
だって、心の中に何かこう、あったかいものが、欠けてしまっている。
でも、なんだか最近、ときどき、
ふとした時に、思い出す。
小ちゃい頃に感じていた、あったかい気持ち。
絶対的な安心感、親しみの気持ち、ほっとする気持ち。
ああ、こういうのがとても心地良いから、
人は家族を作るのかなって、ふと思った。