晴れの日。

エッセイを買ってふむふむと読んだ昨夜。
全然納得できない一節に行き着く。
それなのに、素通りできない。
読み進め、読み終わり、
もう一度その一節に戻り、
やはり納得できず、心の中でううむとうなる。
そして別の小説を読む。
義弟がわざわざ連絡してきて、
絶対読んでみて、とおすすめしてきた、
アニメーション映画の小説版。
靴を作る高校生の話。
なかなか、面白い。
深夜まで読んで、寝る。
ぐうぐう。
7時、ハルに起こされる。
起きたくなくて布団の中で考えを巡らせる。
ごろりと仰向けになると、
窓の外が明るい。晴れだ。
そうだ、洗濯して、掃除して、
さっさと出かけよう。どこへ行こう。
図書館、湖、森、ジム、映画館、洋服屋、、、
そうだ、必ずしも出かけなくてもいい。
美味しいお菓子とお茶を用意して、
本の続きを読む。
ああ、でも、なんだか面倒かも。
一日中寝ていることになりそう・・・
いや、なんのこれしき。
自分をなめてはいけない。
悪い結果というのは、
自分をなめてるから起こるというではないか。
その通りだ。
わたし、やれる。
そう思うと、なんだか力がみなぎる。
楽しく過ごそう。
やりたかったことやろう。
そのとき、ふと、昨日の納得いかなかった一節を思い出す。
受け入れたくない、と固くなっていた気持ちが溶けて、
するりと心の中へ入っていく感じがした。
ああ、わたしはわたしだけの道を歩こう。
恋人の後ろを歩くのではなく。
彼も歩いたことのない、道を。
本も、服も、景色も、休日の過ごし方も、友人も、映画も、食べるものも、何もかも、自分で選ぼう。
とても、寂しいけど、そうするしかないのだ。
いつまでも雛鳥でいるわけにはいかない。
彼とわたしで、みまもっていたハクセキレイの巣があった。
ふわふわの雛たちが、うごめいていた。
親鳥は巣の近くを人間が通ると、
その人間の前をゆっくり歩き、
わざと巣から人間の目を遠ざけようとしているようだった。
ふわふわの、守られる存在である雛っぴたちは
あっという間に巣立っていった。
なんて寂しいんだろう、と感じた。
彼は、嬉しいと言っていた。
またどこかで会えるかもしれない。
空を見上げて、どこかにいるのかな、と思う楽しみができた、と。
清々しいほど執着がないのだ。
寂しい、と思ってしまうよわたしは。
それはそれでいいんだと思うしかない。