鳥を探す旅に出る夢をみた。
明け方に出発して東へと向かう。
カーナビがついているはずなのに地図で道を探す。
昔気質な同行者の好みだろうか。
眠気と戦いながら運転する。
少しずつ夜が明け、朝日が昇ってくる。
美しい。
たどり着いた先は、鳥の楽園だった。
雪が積もっているのにポカポカと暖かく、
上着を脱いで雪原を散歩する。
太陽が雪に反射してキラキラ眩しい。
海にはいろいろな種類のカモ、
木には鷲がとまっていて、
シカやキツネもいる。
同行者は歩くのが速く、
私はその背中を追いかける。
きっと、一生追いつけないなあなどと思う。
雪原を出発して、漁港や、
海岸や森の中で鳥を探した。
同行者はずっとそばにいてくれる。
少しずつ少しずつ、満たされて、
幸福のメーターが振り切ってしまう。
もう、これ以上は、測定不能だと。
たくさんの鳥を見て、帰る日になる。
帰れば、夢から覚めれば、
もうこの夢のような幸福は消えることを知っている。
子供のように泣く。
子供のようで、情けなくて、さらに泣く。
同行者は、黙って、手を握っている。
「運転、代わりましょうか?」
と尋ねてくる。
違うよ、長時間の運転が辛くて泣いているんじゃないよ。
恥を忍んで、涙声で打ち明ける。
「帰りたくない」
同行者は、黙る。
しばらく考えたのち、優しい声で、
「うん、じゃあ、また来ましょう」
と言ってくれた。
そして夢は覚めた。
夢のような夢。