夏だ。
涼しい北国の夏。
太陽が足りない。
平凡な毎日を過ごしている。
共に食事を摂り一つも気を使わない家族がいる。
いつも自信満々なハルがいる。
仕事がある。時々辞めたくなるけど基本楽しい。
同僚たちがいる。時々すれ違うけどうまくやっている。
好きな人がいる。近づいたり離れたり。隣にいると落ち着く。
休日がある。家の掃除をしたり、買い出しをしたり。
とても平凡だ。平和だ。
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また散歩の夢を見た。
今度は日の光の中。
森の中を歩いた。
歩き始めてすぐ、蜘蛛の巣にひっかかってしまった。
大きな蜘蛛が落っこちてくる。
「ひゃ」と変な声が出た。
隣を歩いていた人が、すぐに払ってくれて助かった。
蜘蛛の巣に注意しながら、再び歩き始める。
リリリリ、
と声がする。
「これはなんていう鳥?」
と彼が聞く。
カワラヒワ
私が答える。
ピーーールルルルケキョケキョ。
「これは?」
「ウグイス」
そんな会話を繰り返す。
しばらく歩くと、川に行き着いた。
川ではクマの親子が水浴びをしていた。
私は驚いて逃げようとする。
彼は慌てて私を捕まえる。
「逃げたらだめだ」
逃げる者を追う。熊や犬にはそういう習性があるらしいのだ。
ひとしきり水浴びをすると、熊の親子は岸の反対側に上がり、去っていった。
私たちは川沿いを歩いた。特に何もしゃべらず。
私は水面を観察しながら。
彼も静かに、熱心に森の方を眺めていた。
次第に道は険しくなり、岩場を登ったり、
ぬかるみに足を取られながら、歩を進めた。
そして、大きな滝にたどり着いた。
今まで見たことのない、大きな滝。
滝が流れ出す岩はつるりと滑らかで、
水が触れなない部分には苔が繁茂している。
倒木を椅子代わりにして、二人でその光景に見とれた。
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眠い。寝よう。