温泉

関東へ行った。
建物同士の距離が近く、人の数の多いこと。
多様な人がいると感じた。
この北国よりずっとずっと。
そして空気も違う。
もちろん湿度や温度が高いのもあるけれど
なんだかもっと他にも違う。
賑やかさというか活気というか。
空気の持つエネルギーが違う感じがした。
同じ国とは思えない。
すごい。
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懐かしい友達にあった。
四年ぶりとか、五年ぶりとか。
久々に、女性の活力みたいなものに
近くでたくさん触れた。
前をしっかりと見る力。
楽しいことを作り上げていく力。
素晴らしい生産力が発揮される横で、
ぼんやりと遠くを見る私。
何の貢献もしない、ただそこに存在する私。
でも皆は私の怠慢など気にもとめない。
怠慢より勤勉の方が充実することを知っているから。
いや私だって、たまには、
知った風な顔で、
「あっちの道が正しいんじゃないだろうか」
くらい言うけれど。
とてつもないプラスのエネルギーをもらった。
本当に。
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夫が優しい。
別れたいと言ってからずっと、優しい。
これではもう、ただの良い夫だ。
今日、実家の売却に伴う諸々のため、
実家に帰ったのだけど、夫が一緒にいてくれてとても助かった。
父はあまり感じのいいしゃべり方をしない。
私はそれがものすごい気に障る。
特に話の内容が実家のものの始末に関することだから、
余計イライラする。
父の無神経な物言いにイライラして、
私はすごく感じ悪くなるのに、父は全く気付かない。
夫は気づいてヒヤヒヤしていたらしい。
こうなるともう私は「は?」とか「あ、そ」
とかしか言わなくなる。
でも夫が父としゃべっている間に、気持ちを鎮めることができる。
実家を売るまであと二週間。
ここが山場。
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旅に出たら、あまり連絡が来ない。
会えないときほど連絡をとりたい人ばかりではないということ。
目の前の美しい景色や険しい道に集中したいのだろうか。
時折、もう私に興味がなくなったのでは、という卑屈な考えた頭をもたげる。
しかしそれは違うだろうな、と思う。
愛の言葉をもらったことはないけれど、
愛されていると感じる。
愛にもいろいろあるから、ある種の愛。
大事に思ってくれていることが、
言葉などなくても、よくわかる。
一度だけ、メールで、
少し深い愛のようなものを感じる言葉をくれた。
でも、あまりに受け取れる意味の範囲が広すぎて、
意図が明確ではなかった。
どういう意味?なんて聞くような無粋な真似はできず、
頂いた言葉をそのまま有難く受け取ることにした。
どういう意味か、考え続けることもまた、たのしいもの。
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未来のことを憂えても仕方がないように、最近は思う。
今のことをより多く考えて、精一杯行動する。
それが一番大事であると思う。
それでも先のことも少し考えると、
今やることの方向性が定まりやすい。
迷っている。とても。
迷うことは世間にとっては、
不誠実なことかもしれない。
けれど私にとっては、むしろ誠実なこと。
正直で、誠実で、素直なこと。
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生きる時間軸が同じなのだ。
欲しているものも、
欲しくないものも、
怖いものも、
好きなものも、
どういうわけか、よく似ている。
全然違う人生を生きてきたのに。
そばにいるのが当たり前みたいに感じる。
これは恋の魔力だろうか。
深い孤独を感じていた人は、
恋をすると孤独が解消された喜びを愛と勘違いしやすいのだとか。
そう、似ているなんてことは、全てを投げ出す理由にはならない。
よく考える。よく。よく。
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旅行のとき、友達の後ろ姿を見ていて、ふと思い出した。
何があっても味方だから、と前に言ってくれたことを。
いよいよ、心強いと思った。
私は幸福者だ。