雨と雪

とても寒く風邪をひきそうなくらい。
来週からは晴れるのだ。
でも今日は雪。
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彼はときどきぽつりと、母のことを尋ねる。
どんな人だったのか、
好きな作家は誰だったのか、
何の病気だったのか。
母は正義感の強い人だった。
サガンが好きだった。
最後は癌が全身に転移して死んだ。
私は頭の中で整理しながら、
ゆっくりゆっくり話す。
あまりに救いのない話だから
多くは話せない。
けれど少しでも言葉にして聞いてもらうことで
あの頃溜めた苦しみが昇華していく気がする。
彼はただ黙って聞いてくれる。
何時間でも。
あの頃の自分が救われていく気がする。
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実家を売る。
自分のものを引き取る。
たくさんのものが捨てられる。
私は捨てられない。
母にまつわるもの。
進まなきゃいけない。
でも今はまだ。
自分のペースでいいのだ。
自分のペースで、
自分に持てるだけの思い出を抱えて生きる。
乗り越える。
これもまた乗り越えるのだ。
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連休だ。
幸先のいいスタートだった。
明日からは懐かしい友達に会える。
行ったことのない場所へ行ける。