昨日、帰りに海へ行った。
昔、鳥好きの彼に連れていってもらったマリーナ。
珍しい鳥目当てで行ったのだけど、
そこで見る夕焼けの美しさが気に入り、
以来時折一人で訪れる。
日が長くなったから、
定時上がりなら夕焼けが見れるかも、
と思ったのだけど、
曇っていて見れなかった。
けれどやっぱりとても美しい。
海と、空と、工場。
波打ち際には水鳥が浮いていた。
そして少し経つと、突然、
グレーの大きな雲が頭上にのしかかるように落ちてきた。
背後から、猛烈な風と、雪。
それはそれですごい景色だったけれど、
立っているのもつらくなったので車へ戻った。
*************
母がいなくなったことを嘆き、
兄が勝手だと怒り、
家族の解散を宣言した父を憎み、
自分の持たない幸せを持つ人たちを妬んだ。
けれど自分の幸せは自分で作るしかないのでは?
幸せは何を持つか持たないかで決まるのではないのでは?
自分の心しだいなのでは・・・?
普通の幸せが欲しかった。
でもそんなものはもう望めないのだ。
そもそも普通の幸せってなんだ?
普通ってなんだろう。
私は私の思う幸せを探せばいいのでは?
間違うこともあるし惨めだと感じることもあるだろうけれど。
海を見ながらそんなことを考えた。
一人で海を見ることは、多くの人にとっては惨めでも、
私にとっては静かな幸せだった。
自分さえ幸せなら、一生一人で海を見ていたっていい。
*************
秩序を乱すのを恐れ、動揺する私に、
彼は、怖いですか?と聞いた。
怖い。怖いよ。
波風立てるのが怖い。
人を怒らせるのが。困らせるのが。悲しくさせるのが。
彼は人にどう見られるかなんて気にしない。
自分がしたいようにやる。
変わり者だと思われることを恐れない。
秩序は大事だ。私にとっては。
でも、人目がそんなに大事だろうか。
秩序だけでなく人目まで気にして
自分の気持ちを大事にしなさすぎたかもしれない。
*************
一生そばにいるという約束を求めることと、
ずっとそばにいたいと情熱的に感じることは別だ。
彼にとって私がどんな存在かなんてわからない。
けれど彼は優しくしてくれるし
できる限りのことをしようと思ってくれているのがわかるし
そばにいたいとか、肌に触れたいと思ってくれているのもわかる。
旅から帰ってきた彼は、私の元にすぐに会いに来てくれた。
同じ気持ちだったのだと知った。
それで十分幸せだと感じる。
幸せだ。
私は動揺したけれど
彼に傷つけられたわけじゃない。
悪意を向けられたわけでもない。
彼はただ正直に誠実に答えてくれただけだった。
その最中も優しかった。
私は彼に救われてさえいる。
彼の生き方や、私にくれる言葉、音楽、本。
そういったものに救われている。
約束はいらないのかもしれない。
約束しないと帰ってきてくれないような関係というのは、
つまり約束したから帰ってくるのだ。
帰ってきたくなくても。
彼にはそんな風に生きてほしくない。
*************
卑屈な言動は卑屈な心を生む。
堂々とする。