とうとう

一週間前に、別々に生きたいと思っている旨を告げた。
ショックを受けているようだった。
そして家を出て行った。いく先は決まっている。
たっぷり丸一日いなくなって、
心配をかけて
これで私が懲りたと思ったのだろうか。
バカな考えは捨てると思ったのだろうか。
不機嫌そうに帰ってきた。
確かに私は心配したのだけれど
それは職場に迷惑をかけることへの心配で
こんなんじゃますますやっていけないという気持ちは深まるばかり。
それでも人の気持ちを傷つけてしまったことに動揺して
仕事の帰り道は久しぶりに辛くて涙があふれた。
人の意に沿わないことをするのが苦手。
波風を立てることが、とても苦手。
けれど決意は静かに深まるばかり。
夫は、これじゃだめだ、と思ったのか、
次の日から一切の対立を避けるようになった。
ありがとうとか、ごめんとか、ちょこちょこ言ってくれる。
何か頼んだら、快く引き受けてくれる。
私が嫌だと感じることを、しない。
そういう状態が、一週間弱続いている。
優しい。ってか大人。
正直、とても暮らしやすい。
心地いい。
こんな風に振る舞えるなら、なぜはじめからこうしてくれなかったんだろう。
なぜ、今更・・・
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雪崩のニュースを見た。
一瞬、息が止まって、次の瞬間、
彼がいるのは別の山だ、と気づいた。
黄色い満月や、真っ青な空や、星空を見ると、
彼がいる場所からは、もっと綺麗に見えるのかな、と思う。
大きすぎるリスクや彼の身を案じる人たちのこと考えると複雑だけれど
情熱を捧げられるものがあることは尊い
ここまで真摯に向き合えるものがあることは尊い