題なし

一巻だけ無料で読める漫画があって
それにハマってるという友達が
二人いて。
数少ない友達の中で二人というのは
まあまあの割合で。
面白いものが読めるのではないか。
半ば確信に近い期待を抱いて、
私も無料漫画というものを読み始めてみた。
そして、ガッツリハマった。
この土日で9つの漫画の一巻を読んだ。
全て、面白かった。
その中で一つ選んで、二巻以降も読もうと決めた。
私が選んだのは、
胸キュンあり、人生や社会についての考察あり、
のアラサー向け恋愛漫画、みたいなの。
友達二人はガッツリ恋愛系の楽しい漫画を大人買いして読んでいるのに対して、
私のこの、選択。
なんだろう。
余裕のなさを物語っているような。
面白いは、面白いんだけど。
意味が無い、と思ってしまう。
何か自分を向上させるきっかけをくれるものでなきゃ、
奥行きや深さのあるものでなきゃ、
関わる意味が無い。
そうおもっている。
昔ほど自分をクソだとは思わないけど。
それは自分が向上したのではなくて、
思ったほど、みんな立派じゃ無いって気づいただけ。
それでも向上したいという気持ちは消えるわけではなく。
それは、もう慢性病のようにつきまとう。
友達がどんな風に生きていようが気にならないし
楽しそうに暮らしていてくれれば万々歳なのに
自分にはそれはあてはまらない。
自分は向上しなくちゃ価値がない。
でもそういう考えが、
周りの人を息苦しくさせるであろうことはわかる。
そんな自分を、少しだけ、哀れに思う。
でも哀れんでいても仕方ないから。
持っていないものより、持っているものの数を数えよう。
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暖かな寝床。
そばにいる友達。
遠くだけどいてくれる友達。
楽しいと思える趣味。
生きていけるだけのお金。
美味しい食事。
父と兄とハル。
お庭。
一緒に暮らして、養ってくれる夫。
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漫画を読んで、恋をしたい、という気持ちを強く持った。
恋をしたい。
もし、また恋をできるのなら。
私のことを、自分を抑えても大事にしてくれる人と恋をする。
その代わり、私も、その人のことをとても大事にする。
いろいろなことを、二人でゆっくりと話し合う。
でも、焦って、自分の不安な気持ちを押し付けたりしない。
毎日、会いたいと思う。
でも、毎日、会えなくてもいい。
お互いに、自分の生活も大事にしなきゃいけないから。
なんてね。
現実には思ったようにはいかないもの。
でも今なら、少しはマシな恋ができるのではないだろうか。
いや、それも気のせいか。
ああ、恋がしたい。
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独逸生活はすでに3年目。
仮面夫婦もすでに2年目。
慣れたものである。
人肌の恋しさなんてとうに忘れた。
でも漫画の影響だろうか。
誰かにぎゅうと抱きしめてもらいたい。
手を取って歩いてほしい。
好きだと思ってもらいたい。
大事にされたい。
大事にしたい。
私が自分の問題を乗り越えたら
夫とまたやり直せるだろうか。
昔みたいに好きだと思いあえるだろうか。
言わなくていいこと言って傷つけあったことなんか
全部なかったみたいにして。
最近は喧嘩がだいぶ減った。
同居人として、稼ぐ人間と家事をする人間としての関係は良好である。
これは夫婦関係再構築の前兆であろうか・・・。
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ワイン2杯目でほろ酔いのついでに。
一度だけ、恋のような感情を抱きかけたことがあった。
相手は年上で、落ち着いた優しい人で、夫の知り合いでもある。
一瞬のぼせあがったけど、
ちょっと冷静に考えると、シチュエーションに萎えた。
夫とうまくいかないから、
手近な夫の知り合いに逃避なんて。
萎える。
相手にも失礼過ぎる。
旦那さんとうまくいってる友達も、
ときめきがほしいと嘆いている。
隣の芝生は青く見えても、
みんな何か足りないと思うものを抱えて生きているのかな。
自分だけじゃないと思うとやっていけそうな気がする。
そもそも漫画なんて読むまで、人肌恋しさなんて忘れていたのだ。
でも今、もし何か一番ほしいものが与えられるとしたら、
人のぬくもりだな。
ぎゅうってした時の疲れやストレスが抜けていく感じって、
一人では成し得ない。