眠い。
あまりにも眠いので、昼食の後
普段はほとんどしない昼寝をした。
学校の授業もほとんど集中できなかった。
三時間ほどうつらうつらと寝てしまった。
長い夢を見た。
私はゆっくり視力を失いつつあった。
母は健康で生きていて、
私の目のことをとても心配していた。
心配をかけることに心が痛んだ。
現実では見も知らぬ男が夫だった。
夢とは不思議なものだ。
初めての人と打ち解けるのに時間がかかるはずなのに、
夢の中では初対面でも夫だと決まっていれば夫なのだ。
夫という人は、視力を失っていく妻に寄り添い、
必要なケアを献身的に行ってくれた。
視力を完全に失ったら、
働くことはできるんだろうか。
夫はずっとそばにいてくれようとするだろうが、
重荷にしかならないのではないだろうか。
色々と不安を抱えていた。
夢にしてはとても現実的だった。
起きた時、とても疲れていた。
生きるのは夢でも現実でも疲れるのだな。
最近、時折、病気でない母が夢に出てくる。
自分以外の時間だけがどんどん進んでいく気がしていたけど、
私の時間も少しずつ流れている。
最近は少しだけ、流れが速くなったかもしれない。
悲しいことも遠い過去に流れていく。
そのことに寂しさを感じる。
けど生きなければ。
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昨日、家で漫才を見ていた時のこと。
夫とふたりでゲラゲラ笑っていたのだが、
自分たちの声と、漫才師の声と、
そのほかにも大きな声が聞こえてきた。
Youtub⚫︎の音量を下げ、耳を澄ます。
すると玄関の薄いドアの向こうから
大きな声が聞こえる。
即座に玄関に行き、聞き耳をたてる私。
よく聞くと、尋常ならざる怒鳴り合いであった。
怒鳴りあっているのは、上に住んでいるウガンダ人と、
アパートの大家。
早口すぎてほとんど聞き取れなかったが、
私はなぜ彼らが喧嘩しているのかわかった。
なぜならウガンダ人から、大家に関する不満を
前日に聞いていたからだ。
私も大家に対しては不信感を募らせているが、
彼の被害はもっとひどい。
彼は去年の2月アパート探しをしていてここを紹介されたが、
家賃が予算より高く、住むつもりはなかったらしい。
しかし、このアパートは現在改築中で、
地下の狭い部屋の改築がもうすぐ終わるから、そちらに破格で住めばいい、
それまで二階の部屋に住んでなさい
という大家の説得の末、二階に住み始めた。
二階の部屋は一人にしてはまあまあ高い。
でも地下の安い部屋にすぐ住めるならいいか、とウガンダ人は思ったらしい。
しかし、待てど暮らせど改築は終わらない。
というか、私がいつも書いているとおり、
改築といっても月に数回、男一人がやってきて、
少し工事をして去っていくという、
まともとは思えないスケジュールで進められているのだ。
それこそ亀の歩み。
しかも、うちの庭と、地下の部屋と、二階のファミリー向けの部屋を
同時進行で、順不同で、不定期で、一人の男が作業するという、
聞いたこともないような進め方。
ウガンダ人は言っていた。
奴(大家)は金がないんだ。
僕たちの家賃で改築を進めているから、
金がなくなれば改築は止まる。
安い部屋に住むためにここに入ったのに、
僕が無駄に多く払い続けている家賃で改築は行われ、
僕はいつまで経っても安い部屋に住めない!
かなり怒りを覚えているようだった。
私も大家は不誠実だと常々感じてきたが、
ウガンダの彼は比べ物にならないくらい不憫だと感じた。
そして、大家との喧嘩である。
時々幼い子供の声が聞こえ、大家は子連れであることがわかった。
ウガンダの彼はかなり紳士的で常識的な人で、
子供の前で声を荒げるなど普段はしないだろう。
初めは理性的に話していたのではないかと思う。
聞いていると、大家は
いつまでに改築が終わるかは契約で決まっていないとか、
ちょっと落ち着けよ!とか、
怒るのも無理ないな、と思わせる感じ。
最後は、隣のアメリカ人が仲裁に入って、喧嘩を終えたようだった。
この大家のお兄ちゃんやお母さんはこんな不誠実な人じゃないのに。
たまたまこんな大家にあたってしまった
ウガンダ人の彼も災難だったな、と思う。
こういう時、外国に住む大変さを感じる。