単騎

彼は私のことを気が強くて負けず嫌いだという。
さらに、短気ですぐ怒るという。
だけど、最近少し大人になったという。

かつて、自分を好きだと言い切る友達がいた。
彼女は眩しかった。
自分を好きだという気持ちがわからないので、
どんなものかと不思議でもあった。
そして彼も自分を好きだと言う。
ふむ、彼もあっち側の人間か。
と思った。
自分を嫌いになって早12年。
越えられない壁。

けれども数日前、ふと気付いた。
自分を嫌いじゃなくなっている。
むしろ、好きになりつつある。
これは劇的な変化だ。
何があったわけでもない。
つい一ヶ月前、
彼に言われた。
自分を嫌いなんてもったいない!と。
一ヶ月前の私は確かに自分を好きではなかった。

なんでかな。
原因の一つは、気づいたからかもしれない。
私も自分勝手だけど、
周りはもっと自分勝手だと。
そして、許せるようになってきた。
器用じゃないことも、
元気じゃないことも、
いろんなこと。
欠点ばかりじゃなく、
自分のことよく見えるようになってきた。
みんなが自分勝手でも、別にいい。
みんな好きなようにやって、
でも最低限のラインは守る。
そのほうが遠慮しすぎるより楽しかろう、とさえ思う。

もっと頑張らなきゃ、
もっと綺麗になって頭良くなって
友達たくさん作って趣味も充実させて!
と思っていたが。
そうすれば自分を好きになれると思っていたが。
特別な努力なんか何もしていない。
止むを得ず苦労はしたかもしれない。
つまり、周りが変わっていくだけ。
私はそれに流されたり踊らされたり踏ん張ってみたりするだけ。
自分勝手で短気なままの自分を好きになったのだから。
わたしごときに何かを変えてく力なんて
ありゃせん。
ふぁふぁふぁ。
でもまあ、最近は少しは冷静に考えて、
むりなく心地よく過ごすようにはしてるかな。

もう三日声も聞いてない。
うん、やはり知らぬ間に窒息パターンだ。
会いたいぜ。