去年のこの月に実家を出た。
職場の近くに引っ越した。
当たり前のように母に手伝ってもらった。
いつも母と一緒だったからなぁ。
部屋にあるものぜんぶ母と揃えたんじゃないかってくらい。
その部屋を今日引っ越した。
初めての一人での引っ越しになるはずだった。
なんて淋しいんだろうと思っていた。
でも今回も一人にはならなかった。
彼がいてくれた。

こんなことになるとは思わなかった。
荷物を運び出したまっさらな部屋はまだ記憶に新しい。
去年の今頃、母といたのと同じ。
へんなの。
怖い。
残酷だ。
苦しい。
腹立つ。
悔しい。

私は阿呆で、昨日の夜までなに一つ準備をしていなかった。
昨日の夜も彼と彼の友達とごはんを食べに行ってしまった。
夜中に急いで準備をした。
手伝うよと言っていた彼は
眠りこけていた。
途中で起きて、私を見て
てきぱき動いてるの珍しいー笑
と馬鹿にしてまた寝た。
帰れと思った。

今朝も早起きしてまた準備をした。
彼もすごい手伝ってくれた。
間に合った。
外はすごく天気が良かった。
もう春だ。
空いた時間で川を見に行った。
水面がキラキラしていつもキレイなんだ。
今度スノーシューをはいて川べりを歩こうと約束した。

午後に彼の実家に連れてってもらった。
でっかい犬と陽気なご両親と歳の離れた弟がいた。
明るくてオープンで楽しくて自由で
思っていたとおりの感じだった。
みんな普段通りの姿で迎えてくれて
でもアホみたいに緊張した。

新しい生活が始まる。
やっと。
普通の暮らしができる。
ごはん作るし。
身なりも整えるし。
たくさん寝るし。
部屋も住みやすくするし。
友達に手紙も書く。
彼といろんなところに行く。
ご近所だから散歩もする。
悲しいことは考えないようにする。
考えても何も始まらない。
新しい生活を始める。