平穏

ハルもこの生活に少しずつ慣れ
私も体力が戻りつつあるし
前働いていた時よりも
色々なことにゆったりと対応できるようになり
歳を重ねたことを感じる。
人の欠点というか
弱いところというか
些細な粗を別に悪いとも思わず
受け入れられるようになった。
うんうんわかる、と。
人の嫌だなって思うところって、
必ず自分も持っているところだったりするから
意外にすんなり共感できるというか。
そうしたら楽になった。
うん、楽だ。
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夫はこの二週間、一度も私の嫌なことをしなかった。
何か頼んだら、快く引き受けてくれるし、
注意したら、改善を約束してくれるし、
色々なことに協力的だし、自分勝手なことをしない。
居心地が良い。
これなら暮らしていける。
ただ、夫婦としての愛はない。
夫との未来は今も考えられない。
私はそのことを隠そうともしていない。
夫が毎週実家に帰る時、もうついていかない。
だから週末は別行動なのは変わっていない。
これからずっと、週末も長期連休も年末年始も、
夫と過ごすつもりはない。
夫は自分の家族と過ごせれば、
私がそれを邪魔しなければ、満足なのだろう。
そうして少しずつ気づいてもらう。
この関係の無意味さ。生産性のなさ。未来のなさ。
そんなやり方しかできない臆病者。
絆創膏をゆっくり剥がすか、
一気に剥がすか、みたいな。
ああもう嫌。考えたくない。考えない。
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嫉妬をするのは滑稽だ。
自嘲してしまうくらい滑稽だ。
ははは。
自分が恥ずかしい。
勝手で自己中で抑えの効かない。
大抵のことは許せる。
今の私は自分にさえ寛大になった。
けれど寛大が過ぎると自堕落になる。
どんな状況であれ人を好きになるのは自由だ。と思う。
でもその後を決めるのは自分だ。
ここで焦って蹴りをつけてしまうのが最善ではない。
誰にとっても。
わざとゆっくりと進むように踏みとどまらなければならない。
そして心は自由。それでも嫉妬はとてつもなく滑稽。