鳴明

小さい頃、なかなかのマザコンだった。
ざっと電車の中を見渡して、
うちの母が一番キレイだと思ってたし、
友達のお母さんと比べても、
全てにおいて優ってると思っていた。
たしかに母は美人だったし、
性格も良すぎるくらい良かった。

いろいろなものを共有してきた。
時間、感情、知識、芸術…
よく話し合った。

早いものでもう五か月。
母に会えるまでにあとどのくらいだろう。
そもそも、また会えるのだろうか。
どちらにしても、母のところにいくのだと思うと怖くはない。
むしろ安心する。
誰だってこんな世界に置き去りにされるのは嫌だろう。