假名

今日は納骨をした。
お経のあいだずっと目を閉じていた。
目を閉じていても日差しが眩しいくらい
あたたかくて心地よかった。

10年以上ぶりに父の兄や姉に会った。
二人ともすごく優しく穏やかな人たちだった。
本当に優しいんだ。
母も彼らを好きだった。
お父さんのことは考えなくていいから
自分の幸せのことだけ考えて
好きなように生きなさいと
優しく微笑みながら言われた。
あなたたちの幸せがお父さんの幸せなんだから、と。
海外でも国内でも
したいことがあればどこへでも行けばいいと。

彼の海外転勤が年内に決まった。
一緒に行くんだよ、といってくれる。
そんな生き方でいいだろうか。
何の目的もない。
ただ、今はそばにいたい。
母を亡くして生きる意味がなくなった。
母のために生きてきたわけじゃないけど。
一番大事な人だったから。
けどすぐに彼と出会った。
彼といると悲しいことを忘れていられた。
それが必要だったと思う。
目を逸らすことが。
もう誰とあっても平気なふりをできるし
バリバリ仕事もしている。
でもやはりどこか欠けている。
自分では平気な気でいるけど
周りは未だに腫れ物でも触るかのように扱う。
それが現実なんだと思う。
仕事中に考え込むのも
あまり人と話す気になれないのも
病的な嫉妬心も。
まだ立ち直れていない。
当たり前のことだ。
前は立ち直る気さえなかった。
何もかも自分が悪いのだから
一生罪を背負って静かに生きればいいと思っていた。
彼は私を何一つ責めない。
私も誰のことも責めたくないと思うようになった。
自分さえ。
好きなように生きなさいというなら、
何も迷わない。
引きこもっても仕方ないし
むしろ働きたい。
けど今は彼のそばにいたい。
向上心なんていらない。
難しいこと考えずにぼうっとしていたい。

実際、父のことはあまり心配していない。
母のことはいつも心配だったけれど。
母は寂しがりやだったから。
スカイプがあればなんとかなるだろう。
ハガキもたくさん書こう。