納谷

法事というのは、
もしかしたら生きている人間のためにあるのだろうか。
少しずつ気持ちの整理をつけるために。

着物を取りに行く作業は思った以上に気持ちを落ちこませた。
実家に帰ると、夢中で家中をあさる。
たぶん、母の痕跡を探している。
いろいろ見つけた。
気持ちを慰めるものも見つかったし
心をナイフでえぐられるようなものも見つかった。

節目の日が近付くと落ち込んでゆく。
後悔と悲しい記憶でいっぱいになる。
でも私には未来がある。
私にとって彼は希望だ。
来年からは家族になり、
家庭を築いていける。
父はどんな思いで過ごしているのだろう。
何か希望を見出せるものはあるのだろうか。
きっとそんなたいそうなものはない。
それでも生きていてくれてる。
外出もするようになった。
父にも明るい未来があるといい。