積雪

彼がそばにいてくれるのが当たり前になってきた。
感謝の気持ちは今も感じるが。
もう全然孤独じゃない。
奇跡的変化。
自分のことを率直すぎるとか
素直すぎるとか思ってきたけど
それでよかったかもと今は思える。

孤独と喪失感は別物だ。
今も夢をみる。
病気の母がどこかへ行ってしまう夢。
死期を悟った猫のようにいなくなる。
私は泣きながら母を探す。
せめて最期までそばにいさせてほしいと願う。
けれど母は見つからない。
文字通りの悪夢。
現実には最期までそばにいた。
けれど母は一人だったも同然だ。
私は何も知らなかった。
ずいぶん前に余命を宣告されていたこと。
私は愚かにもまだ生きていてくれると信じてた。
自分を責めるんじゃないと言われたって
そんなわけにはいかない。
だからあんな夢を見る。
現実をよく反映した夢だと感心する。

だから遠くへ行きたい。
彼がいてくれるのは当たり前じゃない。
欲張りになりたくない。
人は結局一人だと忘れたくない。
その上で共に生きるのだと忘れたくない。
自分の愚かさを忘れたくない。