かなり揺れた。
仕事中だった。
机の下に隠れた。
広いフロアの奥の方に彼の姿が見えた。
大事な人がそばにいるというのは安心だ。
ふと思った。
母に連絡しようと。
久しぶりに思ってしまった。
年明けごろは一日五十回くらいは思った。
ずいぶん減ったのに。

恐ろしいゆめ見て私は泣く。
母の夢。
痛みが和らぐまでとか思っていたけど
ふと気付いた。
痛みはこれ以上和らがないだろう。
私はたぶん一生、
この痛みを抱えて生きていくのだ。
変えられない事実。
取り返しのつかない事態。

幸せになるつもりなんかなかったんだ。
でも彼といたら幸せになってしまう。
すべてを許してくれる。
欲しかったものをすべてくれる。
恋をしている。
尊敬している。
愛情をくれる。
私はそれに値しない。
謙遜じゃなく。
結婚の約束をしている。
彼が好きで大事で
これから先の人生に彼がいないなんて
考えられない。
どうしたらいいんだろう。